スティーヴ・エリクソン「ドリーム―エリクソンと日本作家が語る文学の未来」

内容(「MARC」データベースより)
エリクソン自身による自作についてのエッセイのほか、村上龍島田雅彦小林恭二らとの対談、高橋源一郎野中柊らのエッセイを収録。エリクソンが日本作家に提起した文学の課題とは何か。

この作家。現代社会で実生活を営むのはさぞしんどいはずだ。時間も距離も意識も自在に操る慧眼には、天才なんて言葉も陳腐なくらい。対談も不完全燃焼。個人的には村上龍に期待してたけど、ぜんぜん及ばない。村上龍は、徹底取材を重ねて小説を固めていくタイプだから、意識の深淵部から言葉を拾って紡いでいるエリクソンとはタイプが違う。アプローチは違えど、扱うテーマは近いかもしれない。読者の立場から言わせていただければ、エリクソンはプロットが畝って一筋縄で行かないから何度も読んでしまうけど、村上龍は一度読めば十分。もっと突っ込んだことを訊いて欲しかった。
「Xのアーチ」エッシャーの騙し絵説はなかなか面白いと思った。それと、エリクソンがP.J.Harveyを褒めてたのは、分かる気がした。
それにしても、訳者の越川芳明氏が気になる。はてなキーワード登録されてない。明大生の方よろしくお願いします。