誰も知らない

是枝監督ファンとしては、ちとがっかり。まず、長い。正直、もういいよって野球やっているあたりで思いました。だんだん荒んでいく金だけ渡される子供の家庭に、食傷気味になる。わかった、大人は勝手だ、大人が全部悪い、と。そー思わせるのが狙いなら功を奏しているわけですが。ただ、いいショットやアングルがたくさんあった。子供の視線はせつないし、柳楽優弥くんの表情や佇まい、背中の演技、目の演技はすごい良かったし。良い俳優陣が周りを固めているから、この長さが何とかもったようなもの。5分も出てこない寺島進なんて贅沢すぎるし、加瀬亮も空気のように馴染んでいた。
泥だらけで、モノレールに乗ってる明とサキの二人の微妙な距離感と沈黙。沈黙だけど、同じ気持ち。明が言いか続かなかった言葉、サキはしっかり受け止めたと思う。そしてまた、真夏の灼熱の太陽を浴びて子供達は水を汲む。太陽は燦燦と降り注ぐ。子供達を、草花を、生きとし生けるもの育んで。

「生きる」ってこと、ちょっと考えてみようかな、なんて思ったりもしたけど、全然説教臭さはない。子供はちゃんと親がいなくても生きてくものなんだ。だからこそ子供をネグレクトしちゃいけない。