Elephant(機内鑑賞・字幕なし英語)

答えがない映画というのを雑誌のレビューで読んだけど、まさしくその通り。同じ場面を違うアングルから何度も見せたり、人物紹介してその目線で見せたり。アメリカ・コロンバイン高校での銃乱射事件がベースの状況証拠映画です。なんで?どうして?という当然の疑問は、宙に浮いたまま。ソフィア・コッポラもこの手法ですね。それぞれ考えるもよし、考えずに実際起こったこととして事実を受け止めるもよし。ただ、個人的な理由とか、社会現象とかとの関連をこの映画から考えるのは難しいと思う。
人は誰でも、銃をぶっぱなしたくなることがあると思う。特に渋谷なんか歩いてると、無差別的に爆破したくなるときがある。もちろんそんなことはしないんだけど。実行に移すと妄想止まりとでは巨大なギャップがある。そこで思いとどまらせるのは何か?やはり、顔のない虚ろな街行く人々、雑踏の何割かの要らなそうな人々、彼らにも家族や友人や恋人や大事にしてるものがあって、そんなものに囲まれたささやかな生活が自分と同じようにあるということ、そのほんの少しの想像力が思いとどまらせているんだと思う。
人間嫌いだけど、やっぱり人が殺されるところは見たくない。ただ、無差別に殺されていく高校生や先生なんかを見て、なんとも思わなかった。怖い。泣いているジョンにキスした女の子は無事だったのだろうか?